第17回 介護予防・日常生活支援事業ガイドラインについてのQ&A(後編)
今回のほっと・ケアライフ通信は、平成27年3月31日に厚生労働省により発表された「介護予防・日常生活支援総合事業ガイドライン案についてのQ&A」(後編)について考察していきます。
A サービス事業の対象者は、介護保険法施行規則第140条の62の4において、
・居宅要支援者(要支援認定を受けた要支援者であって、居宅において支援を受ける者)
・基本チェックリストに該当した第1号被保険者
とされていることから、第2号被保険者については、要支援認定を受けていることが必要であって、お尋ねの場合、サービス事業を利用するためには、必ず更新申請が必要である。
介護保険法における第1号被保険者とは65歳以上の方、第2号被保険者とは、40歳以上65歳未満の方になります。介護予防・日常生活支援総合事業のサービス対象者は、①「基本チェックリストに該当した65歳以上の方」、②「要支援認定を受けたもの」のいずれかに該当しなければなりませんので45歳以上65歳未満の方が、サービスの提供を受けるには要支援認定を受ける必要があります。
A サービス事業の対象者は、介護保険法施行規則第140条の62の4において、
・居宅要支援者(要支援認定を受けた要支援者であって、居宅において支援を受ける者)
・基本チェックリストに該当した第1号被保険者
とされていることから、第2号被保険者については、要支援認定を受けていることが必要であって、特定疾病に該当したとしても、要支援1または要支援2の認定を受けていなければ、サービス事業を利用することはできない。
Q6にも記述されていたとおり、第2号被保険者が、サービスの提供を受けるには要支援認定を受けるしか方法がございません。
A 「介護予防小規模多機能型居宅介護」「介護予防認知症対応型共同生活介護」は、利用者に対して必要なサービスを包括的に提供する性質であることから、介護予防・生活支援サービス事業のうち、指定事業者によるサービス(現行相当サービス、緩和した基準によるサービス(サービスA))を併用することは想定していない。一方で、住民主体の支援である通所型サービスBなど利用者の自立支援、社会参加を促すサービスを、本人の状態等にあわせて利用することは妨げるものではないが、併用に関しては、目標設定や利用目的等を利用者及び家族と十分に検討されたい。
A 介護予防ケアマネジメントから介護予防支援に移行した場合の介護予防支援の初回加算の算定については、過去2月以上当該地域包括支援センターにおいて介護予防ケアマネジメントを提供しておらず、介護予防ケアマネジメント費が算定されていない場合に、当該利用者に対して介護予防サービス計画を作成した場合に限られる。
Q9は「要支援者が総合事業サービスの利用者になった場合」と「総合事業サービス利用者が要支援者となった場合」についての初回加算の算定についてです。今回の回答では「要支援者が総合事業サービスの利用者になった場合」には初回加算は算定できず、総合事業サービス利用者が要支援者となった場合」は、過去2月以上当該地域包括支援センターにおいて介護予防ケアマネジメントを提供しておらず、介護予防ケアマネジメント費が算定されていない場合に、当該利用者に対して介護予防サービス計画を作成したときに限られる、としています。
A 介護予防居宅療養管理指導は、区分支給限度基準額が適用されないサービスであり、医師の指示の元に実施されるサービスであり、給付管理を行わないことから、介護予防支援費の支給対象外サービスとされている。しかしながら、平成26年9月30日版Q&Aの第4問11にあるように、一般介護予防事業の利用のみということになった場合でも、あるいは総合事業以外の民間サービス等に繋いだ場合でも、ケアマネジメントのプロセスは行われていることから、その実施月の報酬は請求できるとしているところ。お尋ねの場合も、ケアマネジメントにより介護予防居宅療養管理指導の利用につなげていることから、そのプロセスに着目し、ケアマネジメントCとしてお示ししているように実施月のみ介護予防ケアマネジメント費を支払うことについては可能と考えている。
介護予防・日常生活支援総合事業のガイドライン(案)によりますと、介護予防ケアマネジメントは以下の3つに分類されます。
①原則的な介護予防ケアマネジメントのプロセス(ケアマネジメントA) | |
・介護予防・生活支援サービス事業の指定を受けた事業所のサービスを利用する場合 ・訪問型サービスC、通所型サービスCを利用する場合 ・その他地域包括支援センターが必要と判断した場合 |
アセスメント⇒ケアプラン原案作成⇒サービス担当者会議⇒利用者への説明・同意⇒ケアプランの確定・交付(利用者・サービス提供者へ)⇒サービス利用開始⇒モニタリング(給付管理) |
②簡略化した介護予防ケアマネジメントのプロセス(ケアマネジメントB) | |
・①又は③以外のケースで、ケアマネジメントの過程で判断した場合(指定事業者以外の多様なサービスを利用する場合等) | アセスメント⇒ケアプラン原案作成⇒利用者への説明・同意⇒ケアプランの確定・交付(利用者・サービス提供者へ)⇒サービス利用開始⇒モニタリング(適宜) |
③初回のみの介護予防ケアマネジメントのプロセス(ケアマネジメントC) | |
・ケアマネジメントの結果、補助や助成のサービス利用や配食などその他の生活支援サービスにつなげる場合 | アセスメント⇒ケアマネジメント結果案作成⇒利用者への説明・同意⇒サービス利用開始⇒サービス利用開始 |
①原則的な介護予防ケアマネジメント(ケアマネジメントA)
現行の予防給付に対する介護予防ケアマネジメントと同様で、アセスメントによってケアプラン原案を作成し、サービス担当者会議を経て決定します。モニタリングについてはおおむね3ヶ月ごとに行い、利用者の状況等に応じてサービスの変更も行うことが可能な体制をとります。
②簡略化した介護予防ケアマネジメント(ケアマネジメントB)
アセスメント(課題分析)からケアプラン原案作成までは、原則的な介護予防ケアマネジメント(ケアマネジメントA)と同様ですが、サービス担当者会議を省略したケアプランの作成と、間隔をあけて必要に応じてモニタリング時期を設定し、評価及びケアプランの変更等を行う簡略化した介護予防ケアマネジメントを実施します。
③初回のみの介護予防ケアマネジメント(ケアマネジメントC)
ケアマネジメントの結果、利用者本人が自身の状況、目標の達成等を確認し、住民主体のサービス等を利用する場合に実施します。初回のみ、簡略化した介護予防ケアマネジメントのプロセスを実施し、ケアマネジメントの結果(「本人の生活の目標」「維持・改善すべき課題」「その課題の解決への具体的対策」「目標を達成するための取り組み」等を記載」)を利用者に説明し、理解してもらった上で、住民主体の支援等につなげます。その後は、モニタリング等は行いません。また、その者の状態等に応じた適切なサービス提供につながるように、ケアマネジメントの結果については、サービス提供者に対して、利用者の同意を得てケアマネジメント結果を送付するか、利用者の方本人に持参して頂きます。
A 介護予防・生活支援サービス事業の対象者は、居宅において支援を受ける要支援者と、基本チェックリストにおいて事業対象基準に該当した者であるため、養護老人ホーム入所者は介護予防特定施設入居者生活介護の指定の有無に関わらず対象者となり得るが、介護予防特定施設入居者生活介護の指定を受けている場合は、予防給付でサービスが包括的に提供されていることから、指定事業者による介護予防・生活支援サービス事業のサービスを併用することは想定されない。
介護予防特定施設入居者生活介護の指定を受けている場合で、入居者が包括的な介護サービスを受けている者は、介護予防・日常生活支援総合事業のサービスを利用することは出来ません。介護予防特定施設入居者生活介護の指定を受けていない場合は、介護予防・日常生活支援総合事業のサービスを利用は可能、としています。
A 都道府県と市町村にそれぞれ届け出が必要である。
A 総合事業における介護予防ケアマネジメントについて、報酬の逓減制度を設けていない。居宅介護支援事業所への委託に際しては、介護予防ケアマネジメントの適正な実施が確保されるよう、市町村において適切に判断されたい。
Q13は介護予防支援の場合、居宅介護支援専門員1人が作成できるケアプランは40人までとし、それを超えた分は報酬の減算があるが、介護予防ケアマネジメントではどうかという質問になります。今回の回答では、介護予防ケアマネジメントプラン作成の数に上限は設けないものとしています。
A ケアマネジメントCについては、利用者本人をアセスメントし、本人の生活の目標やその達成に向けた取り組み等を、利用者と共に検討してケアマネジメント結果として作成し、その後はセルフマネジメントにつなげることを想定している。介護予防手帳の作成をもって、ケアマネジメントCとして報酬の対象とすることは可能であるが、そのプロセスが実施されていることが必要である。
介護予防手帳とは、高齢者一人一人のセルフマネジメントを強化するツールになります。基本的には地域包括の支援センターの担当により、介護予防・日常生活支援総合事業サービス対象者の評価情報や到達すべき短期・長期目標が記載されます。
ケアマネジメントCとして報酬として、介護予防手帳のプロセスの実施が条件として挙げられていますが、定期的なモニタリングが必要なのかどうかなど判定方法についてまでは言及されていませんでした。
A 通所介護や通所リハビリテーションなど既存の介護事業所の指定基準を超えているスペースを活用して総合事業を展開する場合には、当該介護事象所の指定基準を遵守し、利用者の処遇が低下しないように留意する必要があるが、その前提で事業が展開される場合には、指定権者に対する変更の届出は不要である。
以上が平成27年3月31日に厚生労働省により発表された「介護予防・日常生活支援総合事業ガイドライン案についてのQ&A」(後編)になります。
次回のホットケアライフ通信も何卒よろしくお願いいたします。
失礼いたします。